
※本コラムは、弊社代表の西尾が「月間ガソリン・スタンド」で連載している内容をもとに、再構成・加筆したものです。
親から相続した土地でSSを開業し経営している。従業員に後継者候補が現れたのでその者に承継したい。なお、法人化しており株式会社として営業しているため株式譲渡の方法をとろうと考えているが、事業承継を進めるにあたって留意点はあるか。
SSの経営資源として重要なのは言わずもがな給油所を設置している土地です。もっとも、法人化しているSSでもその土地は個人や第三者の所有というケースが多くみられます。その場合、法人と土地所有者の個人等とは別人格であるため、法的には何らかの使用権原(使用できることを裏付ける法的根拠のこと)をもって法人はその土地を利用していることとなります。具体的には使用借権(民法593条等)や賃借権(民法601条等)のほか地上権(民法265条等)などが設定されます。
そして、SSを経営する法人を譲渡して事業承継する場合、引き続きSSを経営するにはその土地の使用権原も含めて譲渡する必要があります。ただ往々にして、契約書や権利関係の整備が不十分な状態なのが実態かと思われます。
その中でも特に問題になりやすいのが使用借権の場合です。実際のケースとしても使用借権の場合は多いのですが、具体的には、土地を無償で使用していたり賃料を払っているとしてもごく少額に設定されている場合(固定資産税等の公租公課相当額以下の場合)が典型です。オーナー経営者個人やその家族が土地を保有していて、その土地上で法人がSSを経営している場合によく見られる状況です。
この使用借権には事業承継に関して深刻なデメリットがあり、それは第三者に対抗できないということです。
例えばその土地が第三者に譲渡された場合、事業承継を受けた側はその土地の明渡しを求められても拒むことができないのが原則なのです。当然ですが、事業承継を受ける側としては土地の使用権原が不確かなSSを承継するわけにいきませんので、通常は賃貸借契約を締結して賃借権を設定することとなります。すると、相当額の賃料を新たに支払うこととなるため販管費が増加し、事業の収益が悪化して株式価値にマイナスの影響を生じるため、M&Aにおいては大きな想定外となりえます。
これを回避するにはあらかじめ適切な使用権原を設定し、事業承継に適う法的な整備をしておく必要があるのです。

西尾 公伸
弁護士・日本エクイティバンク株式会社代表取締役
第二東京弁護士会所属。中央大学法学部法律学科卒業、大阪市立大学法科大学院修了。
1983年生大阪府堺市のガソリンスタンド経営者の長男として生まれる。
中央大学法学部卒業後は大阪市立大学ロースクールへ進む。社会人アメフトのトップリーグであるXリーグで現役選手として活躍しながら司法試験に合格。所属するAuthense法律事務所では統括責任者としてアメフトで培ったチームワークをモットーに企業様や経営者様のに寄り添ったサポートを行う。事業承継に伴う未解決の課題を解決し、全ての現役オーナー経営者が経営をやり切るための仕組みと文化を創り出すために、2024年日本エクイティバンク株式会社を創業。
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