
※本コラムは、弊社代表の西尾が「月間ガソリン・スタンド」で連載している内容をもとに、再構成・加筆したものです。
誤ってガソリン車に軽油を給油し、お客様の社用車を故障させてしまった。お客様は商談に向かう途中だったらしく、商談は中止に。もし成立していれば1億円の売上だったとして、SSに損害賠償を請求された。この場合、SSは1億円を賠償しなければならないのか。
ちょうど今年1月下旬にも岩手県のSSでガソリンが混入した灯油を販売してしまったというニュースがありましたが、SS側のミスでお客様の注文と異なる油種などを誤給油してしまった場合、SSはその責任を問われることになります。
もっとも、SS側にミスがあったとして、そのミスをきっかけに生じたあらゆる損害を賠償すべき責任があるわけではありません。法的には、「相当因果関係」という考え方があり、損害賠償の責任を負う損害の範囲は無限定ではありません。定型的・類型的に通常生じる損害を「通常損害」として賠償すべき損害の範囲に含めますが、それ以外の特別な事情から生じた損害は「特別損害」とよばれ、例外的にSS側がその事情を特に予見すべきだったといえる場合に限り、賠償の責任を負うこととなります。
そして今回のようなケースでは、例えば車の修理代などは通常損害として損害賠償の範囲に含まれるでしょう。他方で商談がまとまっていれば売り上げられたという1億円については「企業損害(間接損害)」と呼ばれ、特別損害として扱われていますので、原則的にはSS側がその賠償をする必要はありません。

西尾 公伸
弁護士・日本エクイティバンク株式会社代表取締役
第二東京弁護士会所属。中央大学法学部法律学科卒業、大阪市立大学法科大学院修了。
1983年生大阪府堺市のガソリンスタンド経営者の長男として生まれる。
中央大学法学部卒業後は大阪市立大学ロースクールへ進む。社会人アメフトのトップリーグであるXリーグで現役選手として活躍しながら司法試験に合格。所属するAuthense法律事務所では統括責任者としてアメフトで培ったチームワークをモットーに企業様や経営者様のに寄り添ったサポートを行う。事業承継に伴う未解決の課題を解決し、全ての現役オーナー経営者が経営をやり切るための仕組みと文化を創り出すために、2024年日本エクイティバンク株式会社を創業。
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