
※本コラムは、弊社代表の西尾が「月刊ガソリン・スタンド」で連載している内容をもとに、再構成・加筆したものです。
先月採用した社員が、給油手順や金銭管理でミスを繰り返し、注意・指導を重ねても改善が見られない。安全面でも不安があり、現場の不満も大きい。この場合、能力不足を理由に解雇することは認められるのか。それとも、解雇以外に取るべき対応があるのか。
使用者からの一方的な申出によって労働契約を終了させることを「解雇」といいますが、労働契約法第16条には、「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」と定められています。
裁判例では、単に能力不足、成績不良、勤務態度不良、適格性欠如といっただけでなく、その程度がどのぐらい重大か、改善の機会を与えたか、改善の見込みがないかなどについて慎重に判断されています。少なくとも、軽微なミスを理由にろくな指導もせずに解雇することはできません。ただし、小規模な会社では配置転換も難しく、大企業に比べて解雇が認められやすい側面はあります。
いずれにせよ、採用の段階ですべてを見極めることは現実的には困難であり、実際に働いてみなければ分からないことも多いでしょう。
これを踏まえて、以下では2つの対応策をご紹介します。
① 試用期間の実効的な運用
試用期間とは、入社後に能力や適応性を確認するために設けられる制度です。一定期間は会社が不適格であると判断して本採用を拒否することができます。もっとも、本採用拒否は法的には「解雇」ですので、合理的な理由と相当性は必要ですが、通常の解雇よりも広い範囲で解雇の自由が認められています。
注意すべきは、形式的に試用期間の制度を設けているだけでは不十分だということです。まずは契約にきちんと明記したうえで、試用期間中にしっかりと評価や指導を行い、最終的に本採用拒否(解雇)の可能性があることもあらかじめ説明しておくことが重要です。
② 退職勧奨の適切な実施
退職勧奨は、要するに、説得によって自発的な退職を促す行為です。実務上はこれによって解決されている例は多いと思いますし、トラブル防止になる側面もありますが、実施方法には一定の注意が必要です。
当然ですが、事実でないことを伝えて騙したり脅かして無理に退職させたりすることはいけません。また、退職の意思がないと明確に示されているのにもかかわらず、繰り返し退職を迫り続けると不法行為に該当する可能性もあります。あくまで本人の自由な意思決定を妨げない範囲で、冷静かつ適切に行うべきことに注意が必要です。

西尾 公伸
弁護士・日本エクイティバンク株式会社代表取締役
第二東京弁護士会所属。中央大学法学部法律学科卒業、大阪市立大学法科大学院修了。
1983年生大阪府堺市のガソリンスタンド経営者の長男として生まれる。
中央大学法学部卒業後は大阪市立大学ロースクールへ進む。社会人アメフトのトップリーグであるXリーグで現役選手として活躍しながら司法試験に合格。所属するAuthense法律事務所では統括責任者としてアメフトで培ったチームワークをモットーに企業様や経営者様のに寄り添ったサポートを行う。事業承継に伴う未解決の課題を解決し、全ての現役オーナー経営者が経営をやり切るための仕組みと文化を創り出すために、2024年日本エクイティバンク株式会社を創業。
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